正しいのに、「距離」がある現場

― ある図面確認の時間 ―

社長は一人、図面を見ている。

細部まで確認する。
納まりも想定する。
リスクも洗い出す。

抜けはない。

若い職長が近づく。
「ここ、どう判断しますか?」

社長は短く答える。
「そのままでいい」

正しい判断だ。

だが――
職長は少し戸惑った顔をする。


■ 何が起きているのか

職長の頭の中ではこうなる。

・なぜその判断なのか分からない
・聞きづらい
・深く突っ込まないほうがいい

すると、

質問が減る。
相談が減る。
共有が減る。

表面は静か。

だが、距離が生まれている。


■ 社長の頭の中

社長はこう考えている。

・無駄な説明は不要
・分かる人には分かる
・自分で考えてほしい

このタイプは、

・情報を深く集める
・頭の中で整理する
・感情より論理を優先する

思考は明確だ。

だが、それを外に出さない。


■ 本当の原因

止めているのは“知識量”ではありません。

思考の非共有です。

社長の中では、

リスク評価も
優先順位も
根拠も明確。

しかし、それが言語化されないと、現場はこう感じる。

「判断基準が見えない」

判断基準が見えない現場では、

推測が増える。
遠慮が増える。
自信が減る。

これが、静かに止まる構造。


■ ここでひとつの視点

もしあなたが、

・一人で考える時間が必要
・説明より理解を重視する
・感情的な議論が苦手

こうした傾向があるなら、

それは エニアグラムでいう「タイプ5」 の可能性があります。

タイプ5は、

分析力がある。
構造化が得意。
本質を見抜く力がある。

だからこそ――

内側にこもりすぎると、組織が置いていかれる。


■ 改善のポイント

タイプ5が現場を動かすために必要なのは、思考の“見える化”が必須。

たとえば、

✕「そのままでいい」
◯「今回はリスクが低いから、このままで進めよう」

✕「任せる」
◯「この3点だけ確認できれば任せられる」

根拠が一言添えられるだけで、現場は安心します。

知識は武器になる。
だが、共有されなければ孤立を生む。

思考が開示されたとき、それは“信頼”に変わります。


■ 経営者への問い

あなたの判断基準は、見えていますか?
それとも、頭の中にだけありますか?

タイプ5の力は、

会社を安定させる力にも、
組織を遠ざける力にもなる。

違いは、説明の量だけです。

一言の根拠が増えるだけで、
現場の自信は増えていきます。


経営と職人、その両方を知る立場から。
止まる構造を可視化し、
止まらない現場づくりを支えています。

 

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