「想いは強い」のに、現場と噛み合わない

― ある打ち合わせの出来事 ―

新しい現場の打ち合わせ。

社長が言った。
「今回は、うちの色を出したい」

職人たちは少し黙る。

「他社と同じじゃ意味がない」
「仕上がりで“違い”を見せたい」

言っていることは間違っていない。

だが――
現場の空気は、どこか重い。


■ 何が起きているのか

若い職長の頭の中では、こうなる。

・“色を出す”って何だろう
・どこまで求めているのか分からない
・普通じゃダメなのか

基準が曖昧になる。

すると人は、安全側に倒れる。

無難にまとめる。
目立たないようにする。
余計なことはしない。

理想とは逆の動きが始まる。


■ 社長の頭の中

社長はこう考えている。

・せっかくやるなら意味のある仕事を
・うちらしさを出したい
・誇れる現場にしたい

数字だけでは測れない価値を、大切にしている。
それは強みだ。

だが、無意識にこうも伝わってしまう。
「普通では足りない」


■ 本当の原因

止めているのは“理想”ではありません。

言語化されていない期待値です。

・どこが“うちらしさ”なのか
・何ができれば合格なのか
・どこまで求めているのか

これが曖昧なままだと、現場はこう感じる。

「正解が見えない」

正解が見えない現場では、挑戦は減る。

これが、静かに止まる構造。


■ ここでひとつの視点

もしあなたが、

・他と同じが嫌い
・仕事に意味を求める
・自分の理想像が明確にある

こうした傾向があるなら、

それは エニアグラムでいう「タイプ4」 の可能性があります。

タイプ4は、
「独自性」「意味」「美意識」を大切にするタイプです。

組織に個性を与える力がある。
価値を高める力がある。

だからこそ――

理想が強すぎると、
周囲は“正解探し”に入ってしまう。


■ 改善のポイント

タイプ4が現場を動かすために必要なのは、

理想を“感覚”ではなく“基準”に落とすこと。

たとえば、

✕「うちの色を出したい」
◯「今回の現場は“配線の美しさ”を一番大事にしたい」

抽象が具体に変わるだけで、現場は動き出す。

理想は武器になる。
だが、共有されなければ独り言になる。

言語化されたとき、それは“文化”に変わります。


■ 経営者への問い

あなたの理想は、伝わっていますか?
それとも、感じ取ってもらう前提になっていませんか?

タイプ4の力は、
会社に個性を与える力にも、現場を迷わせる力にもなる。

違いは、期待値の明確さだけです。

打ち合わせの一言が変わるだけで、
現場の表情は変わります。


経営と職人、その両方を知る立場から。
止まる構造を可視化し、
止まらない現場づくりを支えています。

 

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