任せても回る現場をつくるための数字の考え方
現場改善を進める時に、KPIという言葉を聞くことがあります。
KPIと聞くと、
「難しそう」
「大きな会社が使うもの」
「数字で管理されるもの」
「現場にはあまり関係ないもの」
このように感じる人もいるかもしれません。
しかし、現場改善で使うKPIは、決して難しいものではありません。
簡単に言うと、KPIとは、
現場が良くなっているかを見るための数字です。
ただし、KPIだけをいきなり決めても、現場は良くなりません。
なぜなら、その前に、
何を目指すのか
そのために何を整えるのか
を決める必要があるからです。
そこで大切になるのが、
KGI
CSF
KPI
という考え方です。
KGIとは
KGIとは、
最終的に目指すゴールです。
現場改善で言えば、
「最終的にどんな現場にしたいのか」
を決めることです。
私の現場改善で目指しているKGIは、
社長が判断を抱え込まず、職長と若手が基準に沿って動ける現場をつくること
です。
もっと短く言うと、
任せても回る現場をつくること
です。
現場では、こんなことがよく起きます。
「任せたのに、また確認が来る」
「同じことを何度も説明している」
「人によって仕上がりが違う」
「手戻りが多い」
「社長や職長がいないと判断が止まる」
「忙しいのに、なぜか現場が前に進まない」
こうした状態を減らし、
社長や職長が毎回判断しなくても、
現場が基準に沿って動ける状態をつくる。
これが、私の考えるKGIです。
CSFとは
CSFとは、
KGIを達成するために外せない重要ポイントです。
つまり、
「そのゴールに近づくために、何を整える必要があるのか」
ということです。
任せても回る現場をつくるためには、
ただ「頑張ろう」ではうまくいきません。
現場で起きているズレを整理する必要があります。
私の現場改善では、CSFを次の5つで考えています。
優先順位のズレ
確認のズレ
完成基準のズレ
教え方のズレ
任せ方のズレ
現場がうまく回らない時、
原因は能力不足だけではありません。
多くの場合、
何を先にやるか。
どこで確認するか。
どこまでやれば完成か。
どう教えるか。
どこまで任せるか。
この基準が、人によってズレています。
だから、任せても回る現場をつくるためには、
この5つの基準をそろえる必要があります。
これが、私の現場改善におけるCSFです。
KPIとは
KPIとは、
CSFがうまく進んでいるかを見る数字です。
つまり、
「現場の基準がそろってきているか」
「ズレが減ってきているか」
「任せても回る現場に近づいているか」
を数字で見るものです。
たとえば、確認のズレを見るなら、
確認回数。
同じ内容の確認回数。
確認待ち時間。
完成基準のズレを見るなら、
手戻り回数。
仕上がり指摘回数。
完了後の追加修正回数。
任せ方のズレを見るなら、
社長判断回数。
任せた仕事が戻ってきた回数。
途中確認が必要だった回数。
このような数字を見ます。
KPIは、人を責めるための数字ではありません。
現場のどこでズレが起きているのかを見るための数字です。
KGI・CSF・KPIの関係
KGI・CSF・KPIは、順番で考えると分かりやすくなります。
まず、KGIを決めます。
どんな現場を目指すのか。
次に、CSFを決めます。
その現場をつくるために、何を整える必要があるのか。
最後に、KPIを決めます。
整ってきているかを、どの数字で見るのか。
私の現場改善で言うと、こうなります。
KGIは、
任せても回る現場をつくること。
CSFは、
優先順位・確認・完成基準・教え方・任せ方の5つのズレを整えること。
KPIは、
確認回数・手戻り回数・社長判断回数など、ズレが減っているかを見る数字。
つまり、KPIは単独で考えるものではありません。
KGIに向かうために、
CSFがうまく進んでいるかを見るものです。
KPIには2種類ある
KPIは、さらに2つに分けて考えると分かりやすくなります。
それが、
結果KPI
プロセスKPI
です。
結果KPIとは、
KGIに近づいているかを見る数字です。
プロセスKPIとは、
CSFを実行できているかを見る数字です。
もう少し簡単に言うと、
結果KPIは、
現場で起きた結果を見る数字です。
プロセスKPIは、
良い結果につなげるための途中の行動を見る数字です。
この2つを分けて見ることで、
現場改善は進めやすくなります。
結果KPIとは
結果KPIとは、
現場で最終的にどうなったかを見る数字です。
私の現場改善で言えば、
結果KPIは、KGIに近づいているかを見る数字です。
KGIは、
任せても回る現場をつくることです。
そのため、結果KPIでは、
確認回数が減ったか。
手戻り回数が減ったか。
社長判断回数が減ったか。
判断待ち時間が減ったか。
任せた仕事が戻ってくる回数が減ったか。
こうした数字を見ます。
たとえば、手戻り回数が多いなら、
完成基準がそろっていないのかもしれません。
社長判断が多いなら、
任せる範囲があいまいなのかもしれません。
確認待ち時間が長いなら、
確認するタイミングや判断基準がそろっていないのかもしれません。
つまり結果KPIは、
任せても回る現場に近づいているかを見る数字です。
プロセスKPIとは
プロセスKPIとは、
良い結果につなげるために、途中でやる行動を見る数字です。
私の現場改善で言えば、
プロセスKPIは、CSFを実行できているかを見る数字です。
CSFは、
優先順位・確認・完成基準・教え方・任せ方の5つのズレを整えることです。
そのため、プロセスKPIでは、
朝礼で最優先作業を共有した回数。
確認するタイミングを共有した回数。
完成基準を共有した回数。
作業前に注意点を伝えた回数。
任せる範囲を伝えた回数。
こうした数字を見ます。
たとえば、優先順位のズレを減らしたいなら、
朝礼で今日の最優先を共有できたかを見る。
完成基準のズレを減らしたいなら、
作業前に完成基準を共有できたかを見る。
任せ方のズレを減らしたいなら、
判断していい範囲を伝えたかを見る。
このように、プロセスKPIは、
現場のズレを整える行動ができているかを見る数字です。
結果KPIだけでは改善しにくい
結果KPIは大事です。
しかし、結果KPIだけを見ていても、
現場は改善しにくいことがあります。
たとえば、
「手戻りが多い」
「確認が多い」
「社長判断が多い」
この結果だけを見て、
「手戻りを減らせ」
「確認を減らせ」
「もっと自分で考えろ」
と言っても、現場はなかなか変わりません。
なぜなら、結果だけを見ても、
具体的に何を変えればいいかが分かりにくいからです。
大事なのは、
結果につながる前の行動を見ることです。
手戻りが多いなら、
作業前に完成基準を共有できていたか。
確認が多いなら、
どこまで自分で判断していいか伝えていたか。
優先順位がズレるなら、
朝礼で今日の最優先を共有できていたか。
社長判断が多いなら、
職長が判断していい範囲を決めていたか。
ここを見ることで、改善する場所が分かります。
だから、現場改善では、
結果KPIとプロセスKPIをセットで見ることが大切です。
たとえば、確認が多い現場の場合
現場でよくある悩みに、
「確認が多い」
というものがあります。
社長から見ると、
「また確認か」
「自分で判断してほしい」
「何度も同じことを聞かれる」
と感じます。
この時に、いきなり
「確認回数を減らそう」
と考えるだけでは不十分です。
まずKGIを考えます。
目指すのは、
社長が毎回判断しなくても、現場が基準に沿って動ける状態です。
次にCSFを考えます。
確認が多い原因は、
確認の基準がそろっていないことかもしれません。
どこまで自分で判断していいのか。
どこから職長に確認するのか。
どこから社長判断なのか。
この基準を整える必要があります。
最後にKPIを決めます。
この時、結果KPIとプロセスKPIに分けて考えます。
結果KPIは、
確認回数。
同じ内容の確認回数。
確認待ち時間。
社長への確認回数。
プロセスKPIは、
判断範囲を共有した回数。
確認するタイミングを伝えた回数。
迷った時の相談ルールを確認した回数。
作業前に確認ポイントを共有した回数。
このように分けて見ることで、
「確認が多い」という結果だけで終わらず、
「確認を減らすために、何を整えるか」まで見えてきます。
たとえば、手戻りが多い現場の場合
手戻りが多い現場も同じです。
まずKGIは、
職長や若手が基準に沿って動き、やり直しが少ない現場をつくることです。
CSFは、
完成基準のズレを整えることです。
どこまでやれば完成なのか。
何を見てOKと判断するのか。
どのタイミングで確認するのか。
この基準がそろっていないと、手戻りが増えます。
この時の結果KPIは、
手戻り回数。
仕上がり指摘回数。
完了後の追加修正回数。
プロセスKPIは、
作業前に完成基準を共有した回数。
見本や写真で仕上がりを確認した回数。
途中確認を入れた回数。
作業前に注意点を1つ伝えた回数。
このように見ると、
手戻りを責めるのではなく、
手戻りが起きる前の行動を整えやすくなります。
たとえば、優先順位がズレる現場の場合
現場では、こんなこともよく起きます。
「そこ、今やるところじゃないだろう」
「先にこっちを終わらせてほしかった」
「急ぎの作業より、気になる細部を先に直していた」
この場合も、本人がサボっているとは限りません。
本人なりに、
きれいに仕上げたい。
後で指摘されたくない。
雑な仕事を残したくない。
という理由で動いていることがあります。
しかし、職長から見ると、
今日の現場で一番大事な作業とズレている。
この時のCSFは、
優先順位のズレを整えることです。
結果KPIは、
作業の順番違いで手戻りした回数。
次工程を止めた回数。
今日中の作業が後回しになった回数。
プロセスKPIは、
朝礼で最優先作業を共有した回数。
今日の優先順位を確認した回数。
次工程への影響を共有した回数。
このように見ると、
「なぜ先にそれをやったんだ」と責めるのではなく、
「今日の最優先が共有されていたか」を見直すことができます。
KPIは、人を責める数字ではない
ここは、とても大事です。
KPIを使うと、数字が見えるようになります。
確認回数が多い。
手戻り回数が多い。
社長判断が多い。
判断待ち時間が長い。
同じ説明が繰り返されている。
この数字を見た時に、
人を責める方向に使ってしまうと、現場は良くなりません。
「なんでこんなに確認が多いんだ」
「何回同じことを言わせるんだ」
「また手戻りか」
「自分で考えろ」
「任せた意味がないだろう」
このように言われると、
部下や職人は余計に動きにくくなります。
大事なのは、数字を見て、
人を責めるのではなく、基準を直すことです。
確認が多いなら、確認の基準を整える。
手戻りが多いなら、完成基準を整える。
社長判断が多いなら、任せる範囲を整える。
優先順位がズレるなら、今日の最優先を共有する。
同じ説明が多いなら、教え方を整える。
KPIは、人を追い込む数字ではありません。
現場を良くするために、
どこを整えればいいかを見る数字です。
まとめ
KGI・CSF・KPIは、現場改善を進めるための基本です。
KGIは、
最終的に目指すゴールです。
CSFは、
そのゴールを達成するために外せない重要ポイントです。
KPIは、
その重要ポイントがうまく進んでいるかを見る数字です。
私の現場改善で言うと、
KGIは、
任せても回る現場をつくること。
CSFは、
優先順位・確認・完成基準・教え方・任せ方の5つのズレを整えること。
KPIは、
確認回数・手戻り回数・社長判断回数など、ズレが減っているかを見る数字。
そしてKPIには、
結果KPIとプロセスKPIがあります。
結果KPIは、
KGIに近づいているかを見る数字です。
プロセスKPIは、
CSFを実行できているかを見る数字です。
結果KPIだけを見ると、
「できていない」という話になりやすくなります。
でも、プロセスKPIも一緒に見ると、
「何を変えれば良くなるか」が見えやすくなります。
KPIは、人を責めるための数字ではありません。
現場で起きているズレを見える化し、
部下や職人が迷わず動ける基準をつくるための数字です。
任せても回る現場をつくるためには、
まずゴールを決めること。
次に、整えるべき重要ポイントを決めること。
そして、改善が進んでいるかを数字で見ること。
この流れが大切です。