「対立を避ける」優しさが、現場を止める

― ある現場調整の出来事 ―

工程が少し押している。
協力会社との段取りも、どこか噛み合っていない。

若い職長が言う。
「このままだと、来週きついです」

空気が少し張る。

社長はゆっくり答える。
「まあ、大丈夫だろう。様子を見よう。」

強くは言わない。
否定もしない。
誰も傷つけない。

場は穏やかに流れる。

だが――
何も決まっていない。


■ なぜ進まなくなるのか

若い職長の中のスイッチが

・今は強く言う場面じゃない
・波風は立てないほうがいい
・そのうち決まるだろう

こうして、

「解決のスイッチ」が「保留のスイッチ」に切り替わる。

一方、社長の頭の中には

・揉めたくない
・関係を悪くしたくない
・大事になる前に収まるはず

社長は逃げているわけではない。
守りたいのは“空気”だ。

関係を。
調和を。
安心感を。


■ 本当の原因

止めているのは“優しさ”ではありません。

決断の先送りです。

タイプ9は、

・対立を避ける
・調和を重んじる
・全体を見ている

組織を安定させる力がある。

だが、

決めるべき瞬間に決めないと、課題は静かに膨らむ。

その結果、

小さな違和感が溜まり、大きな問題になる。

これが、
“ゆっくり止まる構造”。


■ ここでひとつの視点

もしあなたが、

・強い衝突が苦手
・みんなの意見を尊重したい
・自分の主張は後回しにしがち

こうした傾向があるなら、

それは エニアグラム でいう「タイプ9」の可能性があります。

タイプ9は、

安心感をつくる力がある。
組織をまとめる力がある。
長く続く関係を築く力がある。

だからこそ――

決断が曖昧になると、現場は方向を失う。


■ 改善のポイント

タイプ9が現場を止めないために必要なのは、

穏やかに、はっきり決める」こと。

たとえば、

✕「様子を見よう」
◯「今週中に結論を出そう」

✕「どちらでもいい」
◯「今回はこちらで進める」

強くなくていい。
怒らなくていい。

ただ、輪郭を出す。

優しさは武器になる。
だが、曖昧さは停滞になる。

穏やかな決断が加わったとき、
現場は安心して動き出す。


■ 経営者への問い

あなたは今、空気を守っていますか?
それとも、方向を示していますか?

タイプ9の力は、
現場を安定させる力にも、現場を停滞させる力にもなる。

違いは、決断を言葉にしているかどうか。

一言の明確さが、現場の迷いを消します。


経営と職人、その両方を知る立場から。
止まる構造を可視化し、
止まらない現場づくりを支えています。

 

⛑️保安全に⛑️